夜になるまえに

本の話をするところ。

気になる未邦訳作品”Suicide Club”

今回ご紹介するのは、レイチェル・ヘンのデビュー作、”Suicide Club”。

 

 レア・キリノは<ライファー>だ。つまり、遺伝子のサイコロでいい目を出し、永遠
に生きる可能性を与えられたということだ—もしも全部正しくやれば、だが。そして
レアは人並み以上の成功者でもある。ニューヨーク取引所――株でなく今は人間の臓
器が売買されている――で成功を収めたトレーダーであり、美しいアパートに住み、自分に匹敵するほど完璧な遺伝子を持つ婚約者がいる。そして正しいバランスのヘルステック、厳密な充電期間、低衝撃エクササイズを欠かさなければ、彼女は決して死なないだろう。
 しかしレアの完璧な人生は、混み合った歩道で疎遠になっていた父親を見つけた時か
らひっくり返ってしまう。彼の帰還が彼女の失墜の始まりだった。彼の謎めいた<ス
ーサイド・クラブ>の世界――社会による不死の追求を拒絶し、自らに与えられた時間
を生きる、力強い反抗者たちのネットワーク――にレアは引きずりこまれてしまう。この未来世界では、死はタブーであるだけではない。重罪なのだ。ほどなくレアは消毒さ
れた不死の命を生きるのか、本当の意味では知らなかったが、世界にたった一人残された家族である男と短くほろ苦い時間を過ごすのか、選ぶことを強いられる。

 

レイチェル・ヘンのことは前回のブログでご紹介した翻訳同人誌「LETTERS UNBOUND」第三便に掲載されている「サンライズ・バレー」(武居ちひろ訳)で知った。この短編は老いや孤立について書かれた本当に素晴らしい作品なのでぜひ読んでほしい。

 

saganbook.com

 

出版社ページはこちら。なぜかオーディオ版のページしかない。

us.macmillan.com