夜になるまえに

本の話をするところ。

気になる未邦訳作品”The Great Believers"

1985年、シカゴにあるアートギャラリーのデベロップメント・ディレクターであるYale Tishmanは見事な手腕を発揮し、1920年代の絵画の素晴らしいコレクションがギャラリーに寄贈されようとしている。しかし彼のキャリアが花開き始めたころ、周囲ではエイズの流行によりたくさんの人々が命を落としつつある。一人また一人と友人が死んでいき、友人Nicoの葬儀の後、ウイルスはYaleその人に近づきつつある。たちまちのうちに彼のそばに残ったのはたった一人、Nicoの妹Fionaだけになってしまう。

 三十年後、Fionaはパリで、カルトに参加して姿を消し、疎遠になった娘の後を追っている。シカゴでのエイズ危機を記録した高名な写真家である古くからの友人と行動をともにしながら、彼女はとうとうエイズが人生や娘との関係に与えた破壊的な影響に立ち向かうことにする。二つの絡み合う物語は私たちを八十年代の胸が張り裂けるような思いと現代の混沌の中、YaleとFionaが最悪の事態のただ中で善を見出そうともがいているさなかに連れて行く。

 

日本では『戦時の音楽』が翻訳されているレベッカマカーイの長編で、ピュリッツァー賞、全米図書賞の最終候補にも選ばれ、ストーンウォール・ブック・アウォードを受賞している。

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