夜になるまえに

本の話をするところ。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「泣ける本」ではなく。「体の贈り物」

何をどう語ればこの本の美しさを伝えることができるのだろう? 「泣ける」という言葉では到底それは伝わらない。たとえば「汗の贈り物」を、「言葉の贈り物」「悼みの贈り物」を読んで泣いてしまうことは、この本を「泣ける本」のカテゴリーに入れるに十分な…

うらやましいふたり「胃が合うふたり」

「胃が合うふたり」は、「ちはやん」「新井どん」と呼び合う作家と書店員、近しい友人同士であり何よりも「胃が合う」ふたりが、一緒に食べたものについておのおの書いたエッセイを収めた、それぞれの個性が表れる文章が味わい深い一冊である。 うらやましい…

それは「彼」の物語ではなく「ハムネット」

一五八〇年代のイギリスに暮らすある夫婦には、三人の子どもがいた。しかしある時、下の娘ジュディスがペストに罹ってしまう。母アグネスと双子の兄ハムネットは懸命に彼女を看病するが。 この小説のあらすじを簡単に書くとしよう。すると、上のようになるこ…

言葉をとても美しく使う人「パパララレレルル」

言葉をとても美しく使う人が世界には、いる。言葉をとても美しく使うことができない人が大勢を占めるこの世界に在って、その人々はたとえば詩人と呼ばれる。 ああ、これは詩人が書いたな。 そう、詩ではないものを読んでいて思うことがある(そして、詩であ…