夜になるまえに

本の話をするところ。

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

気になる未邦訳作品~国際ブッカー賞候補作編⑥~

国際ブッカー賞候補作の紹介、その六です。今回はポーランドの詩人の小説デビュー作”White Nights”です。 詩人Urszula Honekのデビュー短編集”White Nights”はポーランド南部のBeskid Niski地域のある村で成長し暮らしている(いた)人々を襲うさまざまな悲劇…

気になる未邦訳作品〜国際ブッカー賞候補作編⑤〜

国際ブッカー賞候補作の紹介、その五です。今回はドイツの作家ジェニー・エルペンベックの"Kairos"。 ベルリン、1986年7月11日。ふたりは偶然バスで出逢った。彼女は若き学生、彼は年上で既婚者。共有する音楽と芸術への愛に煽られ、守らなければならない秘…

気になる未邦訳作品~国際ブッカー賞候補作編④~

国際ブッカー賞候補作を紹介するシリーズ第四弾です。 国際ブッカー賞候補作を紹介するシリーズはこちらから↓ saganbook.com saganbook.com saganbook.com 今回紹介するのはスウェーデンの作家Ia Genberg による”The Details”。 有名アナウンサーによる忘れ…

気になる未邦訳作品~国際ブッカー賞候補作編③~

国際ブッカー賞候補作を紹介するシリーズ第三弾です。 国際ブッカー賞候補作を紹介するシリーズはこちらから↓ saganbook.com saganbook.com 今回紹介するのはイタリアの作家、Veronica Raimo作”Lost on Me”。 Veroはローマで風変わりな家族と共に育った。ど…

気になる未邦訳作品~国際ブッカー賞候補作編②~

先日発表された国際ブッカー賞候補作から一冊をご紹介します。 邦訳のある作家の作品ばかり三冊を紹介した第一弾はこちら。 saganbook.com もし双子の片割れがこれ以上生きることを望んでいなかったら?もしもう一人が、片割れなしで生きて行けなかったら? …

気になる未邦訳作品~国際ブッカー賞候補作編~

国際ブッカー賞2024候補作から三作品を紹介します。

エレンディラがあらかじめ奪われていたもの、フュリオサが私たちにくれたもの

ガブリエル・ガルシア=マルケスの言わずと知れた名高い短編「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を読んだ時、私にはわからないことがあった。 エレンディラはどうして自分で祖母を殺さないのだろうか? 「無垢なエレンディラと無情な…

ドラマ「作りたい女と食べたい女」シーズン2感想 原作からの変更の意味について

※ドラマ「作りたい女と食べたい女」シーズン2および漫画「作りたい女と食べたい女」の内容に触れています。 はじめに 四つのエピソード 変更の結果は? こちらもどうぞ はじめに 「作りたい女と食べたい女」が好きだ。漫画がまず好きだった。映像化されると…

物語を生きのびた後に「星を編む」

「物語が終わる時」は、その物語に登場した人の人生が終わる時である、とはかぎらない。もちろん物語の結末で死んでしまう人物はいくらでもいるけれども、物語を生き残った人の人生は、その先も続いていく。ごくごくあたりまえのことだ。しかし、その「物語…