先日発表された国際ブッカー賞候補作から一冊をご紹介します。
邦訳のある作家の作品ばかり三冊を紹介した第一弾はこちら。
もし双子の片割れがこれ以上生きることを望んでいなかったら?もしもう一人が、片割れなしで生きて行けなかったら?
この問いがJente Posthumaの見掛けよりもシンプルな小説”What I’d Rather Not Think About”の核にある。語り手には双子のきょうだいがいるが、彼は最近自ら命を絶った。語り手は子ども時代を振り返り、大人になってからの人生を語る。彼女のきょうだいがいかに幸せを見つけようとして、いろいろな男との関係やバグワン運動の中で、完全にではないにしても、自分を見失っていったかを。
短く、正確なスケッチのかたちで、ほのかな哀愁と驚くべきユーモアたっぷりに、Posthumaはうつ病のきょうだいの話を、彼に対して愛情と怒りの両方を抱き、彼を理解しようともがき、ひどく恋しがっている語り手の視点から語っている。
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バグワン運動の「バグワン」とは、インドの瞑想指導者バグワン・シュリ・ラジニーシのことと思われる。多数の欧米人を含むラジニーシの弟子たちはコミューンを形成し、一部の弟子たちは不法行為に手を染めた。Netflixのドキュメンタリーシリーズ「ワイルド・ワイルド・カントリー」の題材にもなっている。