2023-01-01から1年間の記事一覧
※あからさまなネタバレではありませんが、読後感など、結末に軽く触れています。 エンターテインメント、とは何だろう。 その言葉を聞いてまず思い浮かぶのは、子どもの時にテレビで見たハリウッド映画だ。「スピード」や「ダイ・ハード3」(なぜか1でも2…
BaddawiはAhmadという名の少年が世界に居場所を見つけようともがく物語である。レバノン北部にあるBaddawiという難民キャンプで育った Ahmad は一九四八年、イスラエル建国につながった戦争の後で故郷を逃れた何千もの難民の子どもたちのひとりだ。 このビジ…
unsung hero、という言葉がある。英雄とはその功績を歌に歌われるものだ。けれど英雄であるのにも関わらず歌われない人がいる。その功績が埋もれてしまっている人々がいる。 本書は、ナチ体制下で体制にあらがったエーデルヴァイス海賊団の少年少女たちを描…
Nidalは数十年に及ぶ落ち着かない亡命生活ののちに、ナーブルスの家族の家に戻ってくる。そこは1948年のナクバによって一家が世界中に散らばってしまう前、祖母と共に暮らした場所だった。民衆による抵抗運動が始まった時、彼女は若く、流血と苦闘の果てに、…
ここに子どもがいる。母親の体に宿った、まだこの世界に生まれ出ていない子どもが。 そして少女がいる。母親と父親の関係がぎくしゃくしていること、そこに自分以外の子どもが絡んでいることに苛立つ少女、ローズが。 ホラー映画を借りに通う店の店員ダンク…
ブレグジットによって社会的・政治的混乱が引き起こされ、気候危機が無視され続ける今、これらの出来事は民主主義国家として未知の領域に属すると考えるのは簡単だ。 しかし英国はこれまでにも政治危機や極右の過激思想を経験してきた。英国の抵抗運動の鍵と…
娘Aliaの婚礼の日、Salmaはカップに残ったコーヒーの粉の痕で彼女の未来を読む。Aliaとその子どもたちが不安定な人生を送るさまがSalmaには見える。旅と幸運も。その日彼女は自らの予知を自分の胸だけにとどめておくことを選ぶが、1967年の第三次中東戦争の…
世界を違う目で見るようにしてくれた友だちがいたことがあるか? Stanにはいた。Charlieという友だちが。ある日偶然Goshawk Commonをサイクリングしていて二人の道は交わった。怖いも知らずで賢く、年上のCharlieは、いじめられていて、父の死以来さまよって…
押していただけるとうれしいです! ランキング参加中読書 十七年前、オデュッセウス王はトロイとの戦争に加わるため、戦える年齢の男を皆連れてイタカ島から船出した。誰一人戻っては来ず、残されたイタカの女たちが王国を動かしていた。 ペネロペはオデュッ…
押していただけるとうれしいです↓ ランキング参加中読書 いずれも「黒猫を飼い始めた」という一行で幕を開けるショートショート二十六編。二行目からはじまる自由が、各作家の個性を否応なくにじませる。面白い趣向のアンソロジーから五編、独断と偏見でお気…
押していただけるとうれしいです!↓ ランキング参加中読書 2020年春、Laraの三人の娘たちは北ミシガンにある家族の果樹園に帰ってくる。チェリーを摘みながら、彼女たちは母親にPeter Dukeの話をしてくれるようねだる。Dukeは有名な俳優で、何年も前、Laraが…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 近々ドラマ版も放映される「ノッキンオン・ロックドドア」シリーズから三本、おすすめの話を選んでみることにした。 「ノッキンオン・ロックドドア」シリーズとは 1.「髪の短くなった死体」(「ノッ…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 偶然にも嵐のようなものになった兄Montyとのグランドツアーの一年後、Felicity Montagueは二つの目標を頭にイングランドへと帰還した――恋に浮かれたエディンバラの求婚者からの結婚の申し込みをかわす…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 Donovanが“The Adventurers”をキッチンカウンターに置きっぱなしにした時、母親がそれを読むとは思っていなかった――ましてやそれを問題視するなんて。だって二人の登場人物が悪の天才を止めようとする…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 「作りたい女と食べたい女」ドラマ版最終回の内容に触れています。 「作りたい女と食べたい女」という漫画がある。作者が最初にTwitterにアップして話題を集めた時から、筆者はこの漫画のファンだ。食…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 孤児となり、国の支配層である書記たちに仕えることを強いられているKarisは、遠い昔に国を去った兄を見つけることをほかの何より望んでいる。しかし家族のきずなはScriptoriumにとって何の意味も持…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 本当の人生はおとぎ話じゃない。 でもTiếnはまだ、地元の図書館から借りてきた本に載っているお気に入りのお話しを両親と一緒に読むのが楽しい。子どもとして親とコミュニケーションをとろうとする…
押していただけたらうれしいです! ランキング参加中読書 プライド月間についてはこちらを参照していただきたい。 www.vogue.co.jp 自分が性的指向やジェンダー・アイデンティティの面で周りの大勢の人々と違うことに悩む人たちがいる。子どもたちの中にもそ…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 不審な火事によって鳥類学者の母親を亡くして五年、トランスであることをオープンにしていないシリア系アメリカ人の少年は、出生時の名前を捨て新たな名前を探している。彼は祖母の唯一の介護者とし…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 六月はプライド月間ということで、クィアの人々が登場する本の紹介をしていきたいと思う。今回は今おすすめの四冊を紹介する。 「クィア」という言葉についてはこちら。 www.wwdjapan.com 1.「スピン…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 Samは自らのクィアとしてのアイデンティティに慣れ親しんでいる。Samはノンバイナリーで、親友のTJもそうだ。Samの家族にとってそれはまったく問題のないことだ…ノンバイナリーの子だって部屋を片付…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 若いふたりが書店で出逢う。ひとめぼれだ。ふたりは付き合うようになる。花束を持って相手の家に行く。ふたりは外に出かける。一緒にボートに乗る。なんてロマンティック! 高校生のふたりの関係には…
↓押していただけたら嬉しいです! ランキング参加中読書 600を超える世界で最も暴力的な人間たちがプロングホーン刑務所からネバダ砂漠へと解き放たれた時、米国市場最大規模の人間狩りが始まる。 しかしJohn Kradleにとっては、妻と子どもが殺されて五年後…
押していただけたらうれしいです! ランキング参加中読書 皆さんどんでん返しはお好きですか。お好きですよね。知ってます。今日は個人的に驚いた・お気に入りのどんでん返しを三冊ご紹介しようと思います。 ソフィー たったひとつの、ねがい。 拾った女 ソ…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 Ansel Packerはあと十二時間で死ぬ予定だ。自分がやったことはわかっており、今は処刑を待っている。何年も前にあの少女たちに彼が強いたのと同じ、背すじの凍るような運命だ。しかしAnselは死にたく…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 シヴォーン・ダウドについて ロンドン・アイの謎 ボグ・チャイルド サラスの旅 十三番目の子 THE PAVEE AND THE BUFFER GIRL 怪物はささやく グッゲンハイムの謎 シヴォーン・ダウドについて シヴォー…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 Jessには再スタートが必要だった。金もなく、ひとりぼっちで、理想的とは言えない状況下で仕事を辞めたばかりなのだ。半分血の繋がったきょうだいBenは、少しの間家に泊まってもいいかと頼まれて喜ん…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 ピーター・スワンソンの作品が翻訳されるのは本書で五作目、と解説にあり、「もうそんなになるんだなあ」と感慨にふけった。「そしてミランダを殺す」が話題になり、手に取ってからはや五年である。…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 Ashley Smithはアートを学ぶアメリカの学生で、大学三年目をロンドンで過ごしている。クリスマスは一人で過ごすつもりだったが、最後の最後で同期のEmma Chapmanから Chapman家の郊外にある屋敷、St…
押していただけたらうれしいです! ランキング参加中読書 難しきもの、それはミステリーの書評を書くこと。それも、未読の人に向けて、ネタバレをせずに、面白さだけは伝える文章を書くこと。できないよう、と時々思う。しかしこれまでに、書いてはきたのだ…