夜になるまえに

本の話をするところ。

気になる未邦訳作品第二十六回は"Resist Stories of Uprising" (編者:Ra Page、出版社:Comma Press)

ブレグジットによって社会的・政治的混乱が引き起こされ、気候危機が無視され続ける今、これらの出来事は民主主義国家として未知の領域に属すると考えるのは簡単だ。

 

しかし英国はこれまでにも政治危機や極右の過激思想を経験してきた。英国の抵抗運動の鍵となる瞬間を称える小説とエッセイを集めたこの時宜になかったアンソロジーでは、作家たちは詳細にリサーチされた歴史的に正確なフィクションによって抵抗する。ブーディカからブレア・ピーチ、ケーブル・ストリートの戦い、グレンフェル・タワーの悲劇まで、これらの物語は、不正義に直面した時、人々が立ち上がり抵抗した時のことを明らかにしている。

 

フェイクニュースポストトゥルースの政治の時代において、英国人は未だ一線を引き¡No pasarán!(奴らを通すな!)と言うべき時を知っているのだ。

 

このアンソロジー、執筆陣の顔ぶれと、その作家たちが何を書いているかが出版社のページから確認できるのだが、マーティン・エドワーズがピータールーの虐殺を、エリー・ウィリアムズがレベッカ暴動を、カミーラ・シャムジーがカトー・ストリート陰謀を書いている。更に監修担当の専門家と思しき名前が並んでいるところを見ると、歴史の描写の正確さも期待できそうである。

 

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