夜になるまえに

本の話をするところ。

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

誰かに救われるのではなく”If I Was Your Girl”

Amanda Hardyは地元を離れ、新しい町で新しい学校に通い始める。友人を作り、Grantという好きな男の子もできた。彼女には誰にも打ち明けられない秘密がある。その秘密をGrantに話してしまいたいと彼女は思う。かつては違う名前で呼ばれ、自分とは違う人間で…

next best thing「税金で買った本」

next best thing、という言葉が英語にある。「税金で買った本」の六巻を読んで思い出したのはその言葉だった。 「税金で買った本」は、好奇心旺盛で「気になるから」といろいろなことを知りたがる石平少年が、アルバイト先の図書館で出くわすいろいろな出来…

気になる未邦訳作品 第六回"Senza sangue" (著:Alessandro Baricco、出版社:Rizzoli)

Manuel Rocaの敵たちは彼を追い詰めて殺したが、一番下の娘Ninaが農場の床下に隠れているのに気づかなかった。殺人者のひとり、Titoは、殺人の後でNinaが隠れている場所の上げ戸に気づく。Ninaの非の打ち所がない無垢さに心を打たれた彼は口をつぐんだ。成長…

それはまるで音楽のような「絹」

国の名前を聞くと、思い出す作家がいる。 たとえば、オランダなら「ウールフ、黒い湖」のハーセだ。スペインならフリオ・リャマサーレス、ポーランドならヴィトルド・ゴンブローヴィッチ。翻訳されている作品の少ない国ほど、一人の作家のイメージと結びつい…

気になる未邦訳作品 第五回 ” Kentukis”(著:Samanta Schweblin、出版社:Penguin Random House)

Kentukis、彼らはマスコットではない。幽霊でも、ロボットでもない。実在する人々だ――しかし問題は、ベルリンに住む誰かがシドニーにある他人のリビングを悠々歩けるということ、バンコクに住む誰かがブエノスアイレスにいるあなたの子どもたちと一緒に朝食…

君は何も悪くない”A Monster Calls”(「怪物はささやく」)

頑張れば夢は叶う。努力は必ず報われる。悪人にはきっと罰が当たる。善人は幸運に見舞われる。 ……と説くような物語が嫌いだ。頑張っても夢が叶わず、どんなに努力しても報われず、悪人が大した罰も受けずにのほほんと生きのび、善人が不運に見舞われて貧する…

気になる未邦訳作品 第四回”The Drowning”(著: T.J.Newman、出版社: Blackstone Publishing)

押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 離陸した6分後、1421便は海に墜落する。生存者は自分たちを幸運だと思っていた。しかし彼らを内に閉じ込めたまま、機体は海底へと沈み始める…大規模な救出作戦が始まるが、時間はない。酸素も残り少…

静かに涙を流す人「あのころ、天皇は神だった」

いろいろな泣き方をする人がいる。ただはらはらと涙だけを流す人、悲しみを外に出してしまおうとするかのように声を上げる人、顔を赤くして、鼻水を流して、ひとりで、誰かに慰められながら、人は泣く。この小説を泣く人にたとえるとしたら、どのように泣く…