Amanda Hardyは地元を離れ、新しい町で新しい学校に通い始める。友人を作り、Grantという好きな男の子もできた。彼女には誰にも打ち明けられない秘密がある。その秘密をGrantに話してしまいたいと彼女は思う。かつては違う名前で呼ばれ、自分とは違う人間であろうとして生きてきたことを。
Amandaはトランスジェンダーの少女である。彼女には、彼女をトランスジェンダーと知った上で支えてくれる両親がいる。同じトランスジェンダーの仲間たちがいる。彼女がトランスジェンダーだということを知らないながらも仲のいい友人たちもいる。そしてGrantがいる。秘密を打ち明けてしまいたくなってしまうほどに、心が通じ合うのを感じた男の子が。
そういう人たちは、確かにいる。彼女がトランスジェンダーであると知っていようといまいと、彼女を助け、支えになる人たち。おかしなものとして周囲から見られてきて、一時は自殺を図るほどに追い詰められた彼女の心を、確かに癒してくれた人たち。
しかし、彼女を最終的に救うのは、そうした人たちではない。この物語が素晴らしいのは、まさにその点だ。
Amandaは、自分ひとりで立ち上がり、生きていけるだけの力を自分の中に見出す。彼女はそうやって、自分自身を救う。彼女はトランスジェンダーであり、女性であり、生きて、大切に扱われるに値する、ひとりの人間だ。異常なものとして扱われてきたために見えなくなっていた、そんな当たり前のことを、恐らくは彼女の幸せを願う人たちが何度も伝えようとしたのに信じきれなかったことを、彼女は知る。
彼女が自分でそれをわかっているかぎり、たとえばGrantや、新しい学校の友人たちが、もしも彼女がトランスジェンダーであることを受け入れられなかったとしても、それは問題ではない。まったくもって、問題ではない。この物語の結末はきっと、それを証明している。物語の最後に置かれた力強い言葉を必要としている人たちに、この本が届けばいいと思う。
Amazonのページはこちら↓
出版社の作品ページはこちら↓