夜になるまえに

本の話をするところ。

ミステリー

フィルポッツを再発見「孔雀屋敷」

あなたのイーデン・フィルポッツはどこから? と訊かれたら、「小学校の図書室から」と答える。子ども向けの探偵小説全集に「闇からの声」が入っていたのだ。たしか表紙には悲鳴を上げていると思しき子どもの顔が描かれていて、すごく怖い本のように見えた。…

「黒猫を飼い始めた」からお気に入りを五編選んでみた。

押していただけるとうれしいです↓ ランキング参加中読書 いずれも「黒猫を飼い始めた」という一行で幕を開けるショートショート二十六編。二行目からはじまる自由が、各作家の個性を否応なくにじませる。面白い趣向のアンソロジーから五編、独断と偏見でお気…

気になる未邦訳作品第十五回”The Chase”(著者:Candice Fox、出版社:Penguin)

↓押していただけたら嬉しいです! ランキング参加中読書 600を超える世界で最も暴力的な人間たちがプロングホーン刑務所からネバダ砂漠へと解き放たれた時、米国市場最大規模の人間狩りが始まる。 しかしJohn Kradleにとっては、妻と子どもが殺されて五年後…

どんでん返しものを三冊選んでみた。

押していただけたらうれしいです! ランキング参加中読書 皆さんどんでん返しはお好きですか。お好きですよね。知ってます。今日は個人的に驚いた・お気に入りのどんでん返しを三冊ご紹介しようと思います。 ソフィー たったひとつの、ねがい。 拾った女 ソ…

気になる未邦訳作品第十四回”Notes on an Execution”(著者: Danya Kukafka、出版社:William Morrow)

押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 Ansel Packerはあと十二時間で死ぬ予定だ。自分がやったことはわかっており、今は処刑を待っている。何年も前にあの少女たちに彼が強いたのと同じ、背すじの凍るような運命だ。しかしAnselは死にたく…

気になる未邦訳作品第十三回”The Paris Apartment”(著者:Lucy Foley、出版社:William Morrow Paperbacks)

押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 Jessには再スタートが必要だった。金もなく、ひとりぼっちで、理想的とは言えない状況下で仕事を辞めたばかりなのだ。半分血の繋がったきょうだいBenは、少しの間家に泊まってもいいかと頼まれて喜ん…

スワンソンを読む目的「だからダスティンは死んだ」

押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 ピーター・スワンソンの作品が翻訳されるのは本書で五作目、と解説にあり、「もうそんなになるんだなあ」と感慨にふけった。「そしてミランダを殺す」が話題になり、手に取ってからはや五年である。…

気になる未邦訳作品第十二回”The Christmas Guest”(著者:Peter Swanson,出版社:William Morrow)

押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 Ashley Smithはアートを学ぶアメリカの学生で、大学三年目をロンドンで過ごしている。クリスマスは一人で過ごすつもりだったが、最後の最後で同期のEmma Chapmanから Chapman家の郊外にある屋敷、St…

これはまさに掘り出し物。「禁じられた館」

押していただけたらうれしいです! ランキング参加中読書 難しきもの、それはミステリーの書評を書くこと。それも、未読の人に向けて、ネタバレをせずに、面白さだけは伝える文章を書くこと。できないよう、と時々思う。しかしこれまでに、書いてはきたのだ…

気になる未邦訳作品第十一回”The Woman in the Library”(著者:Sulari Gentill, 出版社: Sourcebooks)

押してくださるとうれしいです↓ ランキング参加中読書 誰の話にも、隠すべきことはある… 静けさは女性の恐怖の叫びで破られた。警備員がすぐさま指揮をとり、危険の正体が突き止められ、食い止められるまでじっとしているよう、中にいるすべての人に指示した…

気になる未邦訳作品 第四回”The Drowning”(著: T.J.Newman、出版社: Blackstone Publishing)

押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 離陸した6分後、1421便は海に墜落する。生存者は自分たちを幸運だと思っていた。しかし彼らを内に閉じ込めたまま、機体は海底へと沈み始める…大規模な救出作戦が始まるが、時間はない。酸素も残り少…

気になる未邦訳作品 第二回” Mad Honey ”(著者:Jodi Picoult、Jennifer Finney Boylan、出版社:Ballantine Books)

オリヴィアは心臓外科医の夫、美しい息子アッシャーとボストンで完璧な生活を送っていた。しかし夫が秘密にしていた暗い部分を明らかにするとその生活はひっくりかえってしまう。オリヴィアはアッシャーを連れてニューハンプシャーの故郷の町に戻り、生まれ…

異様にどんでんがえしを見破ってしまう私がどんでん返された 「星降り山荘の殺人」

押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 皆さんはどんでん返されるのがお好きだろうか。私は好きである。 だが、哀しいかな、きれいにどんでん返された、という本は、実はあまりない。なぜか。 見えてしまうのである。 なぜだろう、本当に小…

いつの時代も人間は同じ。 「狙った獣」

押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 ※ネタバレがあります。 マーガレット・ミラーは恐ろしく素晴らしい作家だ。「狙った獣」。まずはいつもながらタイトルが素晴らしい。導入部もそう。知らない女が電話をかけてきて意味不明のことを言…

「衣裳戸棚の女」が極私的密室殺人ベスト1である理由。

押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 あなたは密室殺人がお好きでしょうか? お好きでしょうね。 たとえば鍵のかかった部屋で、たとえば足跡のない雪の中で、他殺体としか思えない死体が発見される。誰がどうやって殺したのか? いいで…

持っててよかった絶版本を紹介してみる。~海外ミステリー篇~

本を愛する人は決して油断してはいけない。気になる本はとにかく気になった時に買うのだ。これまでどれだけ多くの本がいつのまにか書店からも出版社からも消え入手困難になっていっただろうか。海外文学は特に権利関係などの問題で復刊が難しいこともあるし…

「超短編!大どんでん返し」からお気に入りを五篇紹介してみる。

名前を見たらびっくりするような錚々たる顔ぶれが2000字で挑む超短編・どんでん返しの世界。188ページで実に30篇もの超短編を楽しむことができる。元気も時間もない時、ちょっと一本…ができるのがいい。すいすいと読むことができ、たとえ相性のよくない話が…