夜になるまえに

本の話をするところ。

気になる未邦訳作品第十七回”The Thirty Names of Night”(著者:Zeyn Joukhadar、出版社:Atria Books)

押していただけたらうれしいです!↓

 

不審な火事によって鳥類学者の母親を亡くして五年、トランスであることをオープンにしていないシリア系アメリカ人の少年は、出生時の名前を捨て新たな名前を探している。彼は祖母の唯一の介護者としてアパートに引きこもって過ごし、近所のモスクも、疎遠になった姉(または妹)も、親友(長年の恋の相手でもある)さえ避けていた。唯一本当の自由を感じるのは、夜、かつて華やかだったマンハッタンのリトル・シリアという地区の建物に壁画を書く時だけだが、毎晩母の亡霊が訪ねてくるようになってから悪戦苦闘している。

ある夜、打ち捨てられたコミュニティ住宅に足を踏み入れた彼は、Laila Zというシリア系アメリカ人アーティストのぼろぼろになった日記を見つける。彼女は六十年以上前に謎めいた失踪を遂げていたが、その日記は、彼の母とLaila Zが死の前に同じ珍しい鳥に遭遇していた証拠だった。実際、Laila Zの過去は彼の母の過去と想像もできなかったような形で親密に結びついていた。さらに驚くべきことに、Laila Zの物語は彼が決して知らなかった自分自身のコミュニティの中のクィアトランスジェンダーの歴史を明らかにする。今も昔も自分が一人ではないことを悟り、彼は新たな名前を名乗る勇気を出す。Nadir、アラビア語で「珍しい」と言う意味の名前だ。

かつてないほどたくさんの鳥たちが不思議にもニューヨークシティの空に引き寄せられる中、Nadirは家族や友人の助けを得てLaila Zと彼の母が助けようとして死んだ珍しい鳥に何が起こったのかを明らかにする。母の亡霊を追いかけて、自分自身のコミュニティや家族、自分自身がサバイバルの名のもとに守って来た沈黙をあらわにし、家族はずっとそこにいたのだと気づく。

 

ラムダ賞受賞の注目作。

こちらからは英語のインタビューも読めます。

www.pw.org

 

出版社ページはこちら↓

www.simonandschuster.com

 

前回の未邦訳作品はこちら↓

 

arimbaud.hatenablog.com

 

他にもプライド月間の記事を書いています。

 

arimbaud.hatenablog.com

 

arimbaud.hatenablog.com