若い父親と息子が、二人ともが愛していた妻であり母である女性の死に打ちひしがれながら、ロードトリップに出る。悲しみによって結びついた二人が目指すのは彼女の先祖代々の家だ。そこで彼らは、彼女の遺した恐ろしい遺産と向き合わねばならない。不死を探求して口にするもおぞましい行為に手を染めるOrdenと呼ばれる一家だ。
息子のGasparにとっては、この狂気のカルトこそは宿命だった。Ordenが彼を自分たちの邪悪な世界に引き込もうとするため、彼と父は逃亡し、自分たちが生き残るためなら何でもする力ある一族から逃れようとしている。しかし、Gasparの父はわが子を守るために、どこまでやるだろう? 運命から逃げられる者などいるのだろうか?
活気にあふれた六十年代のロンドンから、厳しい軍事独裁制が敷かれた時代とその後の混乱期のアルゼンチンまで、時代を行き来する“Nuestra parte de noche”は比類のない小説だ。家族の物語であり、ゴーストストーリーであり、オカルトと超自然の物語であり、クィアのサブプロットや主題を備えた愛と渇望の複雑さについての本である。これはラテンアメリカで最も独創的な小説家の傑作であり、「読まれなければならない魅惑の作家だ」とデイヴ・エガーズは語る。
本作は二〇二三年に英訳が出版されている。日本語で読めるエンリケス作品はいずれも短編集なので、そろそろ長編も紹介されていいと思うのだがいかがだろうか。
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