押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 Ansel Packerはあと十二時間で死ぬ予定だ。自分がやったことはわかっており、今は処刑を待っている。何年も前にあの少女たちに彼が強いたのと同じ、背すじの凍るような運命だ。しかしAnselは死にたく…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 シヴォーン・ダウドについて ロンドン・アイの謎 ボグ・チャイルド サラスの旅 十三番目の子 THE PAVEE AND THE BUFFER GIRL 怪物はささやく グッゲンハイムの謎 シヴォーン・ダウドについて シヴォー…
押していただけたらうれしいです↓ ランキング参加中読書 Jessには再スタートが必要だった。金もなく、ひとりぼっちで、理想的とは言えない状況下で仕事を辞めたばかりなのだ。半分血の繋がったきょうだいBenは、少しの間家に泊まってもいいかと頼まれて喜ん…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 ピーター・スワンソンの作品が翻訳されるのは本書で五作目、と解説にあり、「もうそんなになるんだなあ」と感慨にふけった。「そしてミランダを殺す」が話題になり、手に取ってからはや五年である。…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 Ashley Smithはアートを学ぶアメリカの学生で、大学三年目をロンドンで過ごしている。クリスマスは一人で過ごすつもりだったが、最後の最後で同期のEmma Chapmanから Chapman家の郊外にある屋敷、St…
押していただけたらうれしいです! ランキング参加中読書 難しきもの、それはミステリーの書評を書くこと。それも、未読の人に向けて、ネタバレをせずに、面白さだけは伝える文章を書くこと。できないよう、と時々思う。しかしこれまでに、書いてはきたのだ…
押してくださるとうれしいです↓ ランキング参加中読書 誰の話にも、隠すべきことはある… 静けさは女性の恐怖の叫びで破られた。警備員がすぐさま指揮をとり、危険の正体が突き止められ、食い止められるまでじっとしているよう、中にいるすべての人に指示した…
私は笑う。先輩医師が赤ちゃんの母親にかけたほめ言葉を自分が言われたのだと勘違いするくだりで。 私は笑う。食事を共にした祖母に顔を拭われた時、それが患者の血だと気づきながら黙っておくことにするところで。 私は笑う。なくなったガーゼをみんなで血…
「are you listening? アー・ユー・リスニング」の日本語版が刊行されたばかりのティリー・ウォルデンは、他にも「ウォーキング・デッド」のユニバースを舞台にした”Clementine”などなど日本への紹介が進んでほしいものが多い。ここではそのうちの一冊を紹介…
「ボーイフレンド演じます」でルークとオリヴァーは出逢い、恋に落ちたふりをし、本当に恋に落ち、傷ついた心と失望と家族の友人たちに向き合い…そしてどうにかうまくやっていく道を見つけた。今や周りの誰もが結婚しているようで、ルークはプロポーズしなけ…
パレスチナにあるRummani家の故郷から遠く離れたパシフィック・ノースウェストの病院で、死産だった赤ん坊の心臓が動き出し、その肌は鮮やかなコバルトブルーに染まった。同じ日、ナブルスに何百年も前からあるRummani家の石鹸工場が空爆で破壊される。一族…
言語を知ることは、歴史を知ることだ。あなたがその言語に誠実であろうとするならば。 その昔、日本では――恐らくは、世界でも――解する人が極めて少ないであろう言語を学んだ人の話を聞いたことがある。少数民族の人々の間で話されてきたその言語を習い覚える…
真夜中過ぎに電話でその日死ぬ人間に死を予告するサービス〈デス=キャスト〉。そのサービス開始前夜、誰もが抱える疑問があった。実際に〈デス=キャスト〉は死を予知しているのか、それとも壮大なヤラセなのか? 深刻な心臓の疾患を抱え、何年も自分の死を告…
Amanda Hardyは地元を離れ、新しい町で新しい学校に通い始める。友人を作り、Grantという好きな男の子もできた。彼女には誰にも打ち明けられない秘密がある。その秘密をGrantに話してしまいたいと彼女は思う。かつては違う名前で呼ばれ、自分とは違う人間で…
next best thing、という言葉が英語にある。「税金で買った本」の六巻を読んで思い出したのはその言葉だった。 「税金で買った本」は、好奇心旺盛で「気になるから」といろいろなことを知りたがる石平少年が、アルバイト先の図書館で出くわすいろいろな出来…
Manuel Rocaの敵たちは彼を追い詰めて殺したが、一番下の娘Ninaが農場の床下に隠れているのに気づかなかった。殺人者のひとり、Titoは、殺人の後でNinaが隠れている場所の上げ戸に気づく。Ninaの非の打ち所がない無垢さに心を打たれた彼は口をつぐんだ。成長…
国の名前を聞くと、思い出す作家がいる。 たとえば、オランダなら「ウールフ、黒い湖」のハーセだ。スペインならフリオ・リャマサーレス、ポーランドならヴィトルド・ゴンブローヴィッチ。翻訳されている作品の少ない国ほど、一人の作家のイメージと結びつい…
Kentukis、彼らはマスコットではない。幽霊でも、ロボットでもない。実在する人々だ――しかし問題は、ベルリンに住む誰かがシドニーにある他人のリビングを悠々歩けるということ、バンコクに住む誰かがブエノスアイレスにいるあなたの子どもたちと一緒に朝食…
頑張れば夢は叶う。努力は必ず報われる。悪人にはきっと罰が当たる。善人は幸運に見舞われる。 ……と説くような物語が嫌いだ。頑張っても夢が叶わず、どんなに努力しても報われず、悪人が大した罰も受けずにのほほんと生きのび、善人が不運に見舞われて貧する…
押していただけたらうれしいです!↓ ランキング参加中読書 離陸した6分後、1421便は海に墜落する。生存者は自分たちを幸運だと思っていた。しかし彼らを内に閉じ込めたまま、機体は海底へと沈み始める…大規模な救出作戦が始まるが、時間はない。酸素も残り少…
いろいろな泣き方をする人がいる。ただはらはらと涙だけを流す人、悲しみを外に出してしまおうとするかのように声を上げる人、顔を赤くして、鼻水を流して、ひとりで、誰かに慰められながら、人は泣く。この小説を泣く人にたとえるとしたら、どのように泣く…
アリスは認知症が進み、ロッカーの番号やタオルの置き場所も覚えられない。けれど毎日の水泳こそが人生に意味を与えてくれるものだった。しかし通っていたプールが修繕のために閉鎖されてしまう。水泳の習慣から切り離されてしまったアリスは子ども時代と戦…
ラブストーリーという言葉は、どうしてか、ほぼ「ラブ=恋愛」という文脈で使われているようだ。これは奇妙なことだと思う。だって「本が大好き」というのも「ラブ」だろうし、「おかあさんだいすき」というのも「ラブ」だろう。でもそういうことを書いた物…
オリヴィアは心臓外科医の夫、美しい息子アッシャーとボストンで完璧な生活を送っていた。しかし夫が秘密にしていた暗い部分を明らかにするとその生活はひっくりかえってしまう。オリヴィアはアッシャーを連れてニューハンプシャーの故郷の町に戻り、生まれ…
告白しよう。著者をずいぶん前から知っていた。いや、実生活で会ったことがある、話したことがある、そういう意味ではない。あくまで一方的に知っていた。「Twitterで時折流れてくる、熱量のこもった未公開映画ツイートの主」として。ルーマニア語で小説を発…
これから未邦訳の気になる作品を週一回語っていこうと思う。第一回は” Las malas mujeres” (作:Marilar Aleixandre、出版社:Xordica)。 1863年、スペインのコルーニャ。女子刑務所に収監されているのは、子どもたちに与えようとパンを盗んだ者、これ以上…
高校のピラミッドの底辺に位置する平良は、自分とは真逆に頂点に立つ美しい同級生の清居に恋をする――というあらすじを聞いて想像したのとまったく違う話じゃん、というのが最初の正直な感想である。美しく、わがままで、気まぐれな相手に恋をしてしまったが…
ネッテルの文章は静かだ。出てくる人物たちも静かだ。声を荒げる、暴れる、そういうことを、彼らはしない。けれども彼らは、彼らが抱えている孤独は、たぶん地団駄を踏んで泣きわめく、といった、激しい動作で訴えても納得がいくくらいに、深い。孤独。ネッ…
エッセイが好きだ。しかし、好きな小説よりも、好きなエッセイを見つける方が難しい、と思うくらいには、好みに偏りがある。文章はもちろん、時には小説よりもよほど強く感じとれる、書き手の価値観、のようなものが肝心なのだと思う。好きな感じのエッセイ…
さて、筆者は「HEARTSTOPPER ハートストッパー」のファンである。これまでこのシリーズについては、未邦訳の短編小説のレビュー二本とシリーズ全体についての記事一本を書いた。 arimbaud.hatenablog.com arimbaud.hatenablog.com arimbaud.hatenablog.com …